前回のブログで紹介したABSコンピュータですが、今の時代には大変希少な内部修理されていないもの(分解アトがないもの)でした。せっかくなので内部基盤の修理方法を紹介したいと思います。専門店勤務時代は、ABS内部修理の依頼はとても多く、何百回とやった覚えがあります。それだけ、850とV70ⅠのABSユニットは故障しました。前回も言いましたが、たぶん100%の故障率ではないかと。
早速、分解方法の手順ですが、あくまで私のやり方です。まず、上画像のようにネジ取付部の周囲の薄いワッシャーを細めのマイナスドライバーを差し込み、取り外します(ワッシャーが勢いよく飛ぶので注意して下さい) 見た目以上にしっかりついていますので、慎重に隙間をねらって強く差し込んで下さい。私は昔、なんどもドライバーを滑らせて、流血した事があります(汗。
ワッシャーがとれたら、今度は側面のこの部分を同じくマイナスドライバーを差し込んで破壊していきます。
破壊するとこんな感じです。これを全周丁寧に破壊します。
全周破壊が終わったら、今度もマイナスドライバーで、破壊した部分の下側の隙間(上画像のドライバーの位置です)をめがけて、ユニット水平方向にガシガシ移動させ、残っているコーキングを剥離させます。ドライバーを溝に沿ってこすると、中から剥離した細いコーキングのカスがたくさん出てきます。これも全周丁寧に行います。この作業を怠ると、この後の作業でユニットが分解できません。
コーキングの剥離作業がおわったら、上画像のように、スナップリングプライヤーをかけます。(開く方向に力が加えられる工具なら他のものでも良いです) かける位置はネジの取り付け部の周辺が良いと思います。そして開いていきます。
上手くいくと、このようにユニットの蓋がメチョっという音を立てて、開いていきます。何だかチョット癖になりそうな気持よい感覚があります。ちなみに、この内部修理作業の事を前の会社にいたおじさんが、「バチスタ」と呼んでいて、ツボに入っていたのを思い出します。おそらく、この部分の開く作業が何となく手術っぽいので、そういう言い方をしてたんじゃないかと思います(笑)
話がそれました。一カ所開けば、後は順々に工具をかけて開いていけば、下画像のように蓋がとれて内部が見えます。
この後は、ハンダ修理部分のクリアの被膜をマイナスドライバなどでめくり、ハンダをやり直すのですが、世の中には、この作業をネットで紹介する事をあまり良く思わない方がいるようで、どの部分かはあえて詳しく書きません。ごめんないさい。とは言え、DIYでやっている方もたくさんおられるので、他で情報も出ていると思います。
私が思うポイントとしては、まづはクリアをしっかりとはがす事、ドライバでめくった後、歯ブラシや真鍮のワイヤブラシなどで、しっかりと除去して下さい。クリアが残っていると上手くハンダがのりません。それと、出力が高くできるハンダごてを使う事。たぶんこれが一番大事で、再修理、再々修理などで他で修理した物をやり直す事があるのですが、まあ残念なクオリティのハンダ付けに出会う事が多いです。
こういうプッシュスイッチがついていて、130w程度まで出力を上げられるものを使った方が良いです(ホームセンターでも安く売っています) 20wや40w程度の出力のハンダごてでは、上手く修理する事はできません。しっかりと旧ハンダをとかして、新しいハンダを足してやると、古いハンダが表面に浮いてきます。(スイッチは必要に応じて、溶かす時だけ押した方が良いです)
修理が終わったら、蓋を被せて、最初にとったワッシャーを8mmあたりのソケットで打ち付けて、破壊した部分をコーキングで補修しておしまいです。今の時代はこの状態になったユニットがほとんどなので、コーキングを切って、工具で開いてやれば簡単に再修理できますよ。