今回は修理作業の紹介をしたい思います。当店は契約の業者さんのみの対応ですが、修理もしています。今回行ったのは8B系のV70(875)の雨漏り修理で、私の中では経験した事のなかった部分からの雨漏りでした。
低年式ボルボ車は雨漏りもよくあります。車は室内にボディ部分が露出しないように内張やらマットやらギッシリと敷き詰められているので、意外と特定が難しかったりします。今回の875は入庫時に運転席、後部座席の左右の足元がビシャビシャの状態でした。車の足元って厚さ2~3cmのウレタンマット、その上にカーペットが敷かれて、さらにフロアマットと3重の構造なので、足元がビシャビシャという事は相当の水が車内に侵入している事になります。この車両もフロアマットを取り出し、カーペットとウレタンをめくると、まるでプールのように2~3cm程水が溜まっていました。
これはサンルーフの排水ホースでも抜けたかなと思ってまずはサンルーフをチェックしました。サンルーフはガラス部分とボディの隙間にはゴムのウェザーがありますが、この部分はどうしても多少なり水が浸入してくるので、進入してきた水を逃がすためにサンルーフカセットの四隅には排水ホースがついています。
とりあえず、AピラーとBピラー、ドア上部ピラーの内張り、アシストグリップを外して隙間から排水ホースをチェックします。チェックするには部品を外して水をかけないといけないので、どうしても時間がかかります。できたらやりたくない修理です。
チェックしましたが、漏れている様子もなければ、水も四隅ともホースを通って綺麗に抜けていきます。ちなみに、875の定番雨漏り原因はサンルーフウェザーとボディの間ではなく、サンルーフガラスとウェザーの間に水が浸入してきて回り込み、その水がフロントシートやセンターコンソールあたりに落ちてきます。が、今回はそれも違う模様です。
こうなると、車に水をかけながら何処から水が浸入してきているか可能性のありそうな所をチェックしていきます。しばらく水をかけながらみていると、水が伝ってくるところがありました。運転席の足元右上部分あたりです。
これは、まさかフロントガラス!?などと思いながら、水の出所を見ていると、リレーやらヒューズやらが集中している、言わば電装の心臓部ともよべるあたりからチョロチョロ水が伝ってきます。これはマズイ状況です。もしかしてと思い外に出て、ワイパーアームを外して、ワイパーガーニッシュも外してヒューズボックス全体を見ます。すると写真のように水たまりどっぷりです。この水たまりがヒューズボックスとボディの隙間からどんどん車内に侵入しているような状態でした。原因が解ればなんとも簡単な理由です。
このヒューズボックスの手前に、解りにくいですが排水ホースが有り詰まってました。
ワイパーガーニッシュ部分の排水ホースは良く目立ちますし、落ち葉などで詰まったりするのでよく掃除しますが、私はこの部分の排水ホースが詰まったのを見たのは初めてですし、今まで注目した事もありませんでした。ホースを取り外して清掃すると中はヘドロなようなものでビッシリでした。
これで雨漏りは治ったんですが、この後の車内乾燥がこれまた大変です。フロアの中のウレタンがビショビショになると、それはそれはもう本当に乾きにくいのです。
今回は875の雨漏り修理のご紹介でした。たまにはワイパガーニッシュの中の排水ホースも点検が必要なのだなと思った一件でした。