今回は、ボルボ850(初期V70もたしか同じ)のトノカバー修理をやってみたいと思います。使っていると90%壊れます。10年前に私が専門店で働いていた時も、かなりの確率で壊れていたので、いまや壊れずに現存しているものはかなりの貴重品と言えるでしょう。当店在庫品も例外なく壊れてます。
写真のように、伸ばすと全く巻き取らなくなります。本当は伸ばしても勝手に巻き取られて収納できるのが正常です。しかも壊れると中を分解しないと巻き取る方法がないので、そのまま捨てたり、ビローンと伸びたままラゲッジルームに放置してある車もたくさんありました。何とか修理できないかと思っていたのですが、ようやくそれなりの修理ができたのでご紹介したいと思います。
とりあえず分解です。左右両端のプラスチックカバーは、おそらく壊れているものであればスポッと外れます(本当は壊れていなければ、カバーが中の軸と一体なので外れないです) その中のもう一つの黒いカバーは小さいネジ3本で、カバーを収納しているケースと固定されているので外します。左右外すと、カバーが巻き付いている中の軸をスライドさせて取り出す事ができます。
壊れている原因は写真のように、外側のカバーと内側の軸の固定部分が割れているからです。本当は、プラスチックの軸棒が外側のプラケースと固定されていて、カバーを引っ張っても軸棒は回らずに中のバネが効いた状態で引き出され、伸びたバネの力で自動で巻き取る仕組みです。しかし、ここが割れている為に軸棒ごと回ってしまうので、バネが機能せず巻き取らないというわけです。こんな構造をプラスチックで作るっていうのはどういう神経なんだろうなと設計者を疑ってしまいますが、、、、 さすがボルボ車。そういう所が面白い所でもありますね。
軸棒のプラスチックは外側のカバーとつながっている部分も割れていますが、銀色の筒の中に入っている内側の付け根の部分も亀裂が入ってグラグラなので、接着剤を入れてビニールテープで補強しました。それと、写真に写っている黒いカラーのようなものですが、固いビニールのような素材で、軸棒の付け根を保護してました。しかし軸棒より大きくスポスポなので、軸棒のプラスチックが外にひろがって割れる事を保護できていなかったです。その隙間を埋めてフィット感を出すためにビニールテープは多めに巻いてます(このカラー自体を熱で収縮させて、軸棒の根本に密着させようかと試みましたが、熱収縮させる事はできませんでした)
この後、半日ほど色々試行錯誤してたどり着いたのが、上の写真のように、プラスチックの軸棒にM4×50のネジをつけてやるという事です。このネジを外側のケースの中で回り止めにして、軸棒が回るのを防ごうというわけです。板のようなものをつけた方が、点当たりせずに負荷も少ないと思いましたが、取付状態でこの部分にはスペースがなく、ネジくらいの細さのものが限界でした。それでも車両取付時には、左右から軸棒を中に縮めてセットするので、中の黒いケースを削って逃がしを作ってあります。(この軸棒は内側にも縮む構造です。なのでネジはできるだけ外側につける必要があります。) ネジは元々あいている軸棒のスリットを少しヤスリで上下に広げてから、軸棒が外側に開くのを防止するため針金で縛り、タップを切る容量で入れこみナット固定してあります。左右の軸棒の端で全く同じ状態を作ります。
このように外側ケースが被ってくるので、ネジを外側ケースの中で回り止めとする事ができます。また、外側ケースを被せる前に、ある程度軸を回転させてテンションをかけてから外側ケースを着ける必要があります。バネに負荷をかけた状態にしておかないと最後までカバーを巻き取れないからです。結局何回か試しましたが、負荷がない状態から7回転ほど軸を回転させてからカバーを取付しないと上手く最後まで巻取りできませんでした。回転させる時は左右両方の軸棒が回りますので、両端のカバーを外した状態で回転させ、カバーを取り付ける反対側の軸を手で持って固定してから取付するとやり易かったです。 取付後に両端のカバーを同時に外すと、かけたテンションがグルグルと回転し元に戻っていくので注意です(片側づづなら大丈夫です)
この状態で車両に取付して、時折正常に巻き取るかをテストしてますが正常に機能しています。もうしばらくテストして良ければ、ヤフオク出品しようかと思っています。 構造が説明しづらく、読んで頂いても非常に解りにくい文章になってしまい申し訳ないのですが、以上が今回の修理内容の紹介になります。中のプラスチックが割れていても、破片がまだあるような状態であれば今回の修理で対応可能だと思います。参考にして頂ければ幸いです。