本日は850/V70(8B)のトノカバーのリペア作業の紹介をいたします。以前も紹介したのですが、今まで取扱いをしていたスウェーデン輸入のリペアキットがユーロ高騰につき再入荷が難しい為、米国より輸入した新しいリペアキットにて作業です。
壊れているトノカバーです。このようにカバー生地が巻取りされず伸びままになっています。
こちらが今回使用する新しいリペアキットです。両端のカバーの中で回り止めにする部分と、エンドピース、それと作業を補助するパーツ(緑の部品)がついています。3Dプリンタで作られたと思われる樹脂製ですが、それなりの強度はありそうです。
作業を進めていきます。両端のカバーを外します。壊れていれば、軸との付け根が破損していますので外側に引っ張るだけで写真のように外れます。本来は内部の軸とカバーは一体なのでこのようには外れません。
これ以上分解せずに作業も可能なのですが、やり易くする為、パーツをさらに分解していきます。内側のカバーはネジ3本で固定されているだけです。また、内部の軸の回りにチューブのようなものが入っていますので、それもいったん抜き取ります。
ワレて残っているプラスチック軸部分が作業の邪魔になりますので取り除きます。この部分は必要ないので壊して取り除けばOKです。結構取り難いので、今回はとりあえず上側の破片だけ取り除いて作業をしました。後で解説しますが、この時点で綺麗に全て取り除いた方が良かったです。
中の細い金属軸の端に切れ込みがあり、切れ込みに合わせてT字の部品(エンドピース)がついています。次はこれを外していきます。中心に芯棒が入っているので、まずはそれを叩いて中に落とします。かなり細いのですが、2.5mmくらいのドリルがポンチ代わりにちょうど良いです。
真ん中の芯棒を中に落としたら、エンドピース自体を外します。結構強くはまり込んでいるので、グニグニと左右にこじりながら外していきます。結構外しにくく最初の難関です。
結局外れず、残っていた下側の破片も取り除いて、写真のようにペンチを2本使用して、グニグニとこじりながら外しました。破損しているプラスチック軸部分は最初の時点で、全部取り除いた方が良かったですね。
エンドピースが外れました。中に落とした中心の芯棒も回収して下さい。これで片側の下準備が完了です。反対側も同じように分解作業をして下さい。
反対側も分解作業をしたら、リペアキットを取付していきます。内側のカバーを戻し、チューブも戻し、リペアキットを、黒い大きな部品→付属のエンドピースという順番でいれこみます。
奥まっていて作業し難いのですが、エンドピースのT字部分が中の金属軸の切り込みにあうように叩き込んで、抜け止めのネジを締め込みます。この時、作業している方と反対側の軸を壁にあてたりして止めておかないと、内部の軸が反対側に逃げてエンドピースが叩きこめません。
エンドピースを入れ込んだ状態です。中の金属軸の切れ込みにあわせて、ツラになるように入っていればOKです。
次に反対側を作業するのですが、今度は片方が作業が終わった分、軸がさらに奥まってしまい作業が困難なので、取付が終わった方の中心部分に、付属の緑のパーツを入れて押さえて軸が反対側まで出てくるようにします。
今回は、縦にして重力の力を利用して押さえる事にしました。こうするのが一番良いと思います。上にしているのが、これから作業する方で、下にして押さえつけるのが、リペアキットを既に取付したほうです。
緑のパーツを真ん中にいれた状態で床に押さえつけています。この緑パーツをいれていないと内部の細い金属軸が反対側まで出てきません。
反対側も同じように、内側カバーを戻し、チューブも戻して、黒い大きな部品→エンドピースという順番で取付します。しっかりと下に押さえつければ、何とか内部の金属軸がギリギリ作業できる位置まで出てきます。
エンドピースを叩きこんで、抜け止めのネジを締め込んだ状態です。これでリペアキットの取付作業は終了です。ここから最終作業に入ります。反対側で軸を押さえるのに使った緑のパーツはつけたままにせず、回収して下さい。
最後、両端のカバーを戻す前に、カバー生地の巻取りと、内部のバネにテンションをかけてやる必要があります。両端のリペアキットが回転できるように、両端がテーブルからでるように配置します。
また、両端のカバーの内部にプラスチック軸が残ったりしていないか確認して下さい。カバー側に軸が残っていれば、壊して綺麗に取り除きます。写真のような感じになっていればOKです。プラスチック軸が残って出っ張っていると、全長が長くなってしまい車両に取付ができなくなってしまいます。
リペアキットをカバー生地を巻き取る方に回して(写真の側だと反時計回り)、テンションをかけていきます。片方をまわせば両方がまわる構造です。どのぐらい回すかは、また後で解説をいたしますが、最後はかなり反発がありますので軍手必須です。テンションをかけ終わったら、リペアキットが元に回って戻らないよう手で上手く押さえながら両端のカバーをつけます。片方のカバーをつければひとまずキープできますので、その間にもう片方のカバーもつけて下さい。両端のカバーの中でリペアキットが回り止めになってテンションをキープするような構造です。
テンションのかけ具合についてです。最初何回か回転させれると、徐々に反発がでてカバーが勝手に巻き取られていきます。カバーが完全に巻き取られてからもさらに回転してテンションをかける必要があります。最終的には車両に取付して、実際に動作確認して具合をみていきます。今回は完全にカバーが巻き取られてからプラス5回転ぐらいから試し、結局プラス9回転まで巻きました。プラス5回転でも車両に取付していない状態では巻取りができるのですが、車両に取付すると両側から押さえられる事で、動きが悪くなり最後の方が巻取りできません。ただテンションをかけ過ぎるとリペアキットにかかる負荷も大きくなるので、ちょうど良いところを探す必要があります。カバー側の劣化が進んでいると、テンションのかけすぎで、トノカバー本体の外側カバーが破損する事例も発生していますので、少し巻取りが弱いぐらいで我慢して使用してもらうのが良いかもしれません。
リペア完了です。両端のカバーを同時にはずすと、リペアキットが勢いよくまわりテンションがリセットされますのでお気をつけ下さい。
中々難しい構造で、解りやすく説明ができずに申し訳ありません。今回、余分に少し輸入しましたので、数量限定でヤフオクの方に出品しております。挑戦される方がおられましたら、購入して本ブログを参考にして作業して頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。