今回はV70(8B)イモビライザーシステムの移植実験をしてみました。結論から書きますと、同じ2000年式クラシック同士で行ったのですが、タイトル通りECMも一緒に入れ替える事でイモビライザーシステムの中古利用が可能でした。ただ難点も少しありましたので、また後で解説をします。
まず、こちらが取り外したイモビライザーユニットです。横にある小さい部品はキーのなかから取り出したチップになります。それぞれ取外し方を紹介します。
イモビライザーユニットの方は運転席アンダーパネルを外して、足元のエアコン吹き出し付近の鉄板プレートに固定されています。特にネジ等は使用されていません。写真のようにマイナスドライバーを挿し込んで浮かせてから下側に引き抜くと取外しできます。
取り外したら、この辺りまで下りてきますので、後はカプラーを抜いて交換するのみです。
次にユニットに紐づいているキー内部のチップを抜き出します。キーのこの辺りに埋め込まれていますので、慎重にカットしたり削ったりして取り出します。850はカバーをスライドして取り出せるのですが、87系は埋め込みです。持ち手部分の材質も劣化でベトベトになるので、鍵は850のタイプの方が良いですね。
取り出したチップは移植する側の車両のキーの同じ位置にあるチップと交換をします。
さらに動作させるにはECMも交換が必要です。イモビライザーのチップがECMとユニットそれぞれに登録されている仕組みのようで、ECMは初爆を担当、ユニットは初爆後の認識を担当しているようです。なので、ユニットやチップに不具合がある車両は初爆はするがすぐにストールするという症状になります。
ECM取外しは土台の下の紫のパーツをスライドさせて取外すのですが、私は専用工具を持っておらず、いつも長いマイナスドライバーで代用しているので、中々やり難く大変です。
以上3点を交換する事で、通常通りエンジン始動してイモビライザーシステムの中古利用が可能となりました。ただ、冒頭で紹介した通り難点もありスピードメーターのコンピュータにECMソフトウェア異常という故障コードが入力されてはしまいました。車体番号の情報がV70(8B)後期モデルの場合は、ECMとスピードメーターに記録されている為、それが合致しない為と思われます。
診断機等読み出し時の車体番号はスピードメーターの情報をメインにしているようで、診断機読み取りの車両情報は正常でした。コードの内容を調べると、故障症状なしのコードのようで、テストする限りは計器類も正常で警告灯の点灯もなく実害はないような状態でした。エラーコードの入力があるという事を覚えておけば、普段使いは問題はないような気もします。(スピードメーターも同時交換してしまえばエラーコードの入力はなくなりますが、走行距離が変わってしまうのと、今度は診断機読み出しの車体番号が実際の車体番号と違う事になります。こちらも同年式同グレードであれば、普段使いには実害はないように思います)
ただ互換はシビアな可能性が高いので、あくまで移植可能なのは同年式同グレードになるかと思います。また細かい部分で使用上の不都合が潜んでいる可能性や車両コンピュータのソフトウェアの更新状況によっては不具合が出る可能性も考えられますので、エラーコードの入力の件とあわせて、あくまで利用は最終手段か緊急時の移動用といったところでしょうか。
ちなみに実験時に、写真のようにチップをアンテナリング付近にテープで貼り付けして、イグニッションスイッチ側を直回ししてエンジン始動しようとしたのですが、どうにも上手くいきませんでした。
理屈ではいける気がするのですが、結構チップの位置や向き等がシビアなのかもしれません。やはり駄目なのかと一度は諦めたのですが、もしやと思いキーの内部にきちんとチップを移植して通常通りのエンジン始動をすると上手くいきました。
以前、875のお客様から問合せで、イモビライザーの故障で新品も発注できず廃車するしかないというような状況をお聞きした事がありまして実験してみました。(その時は同じ年式グレードの車両も無く中古利用の可否も不確かだったため、結局はお役に立てなかったのですが、、、せめて情報だけでもあれば、お客様も希望が持てたかもしれなかったかなと思い今回、実験をしてブログに載せました)
87系の1999年2000年式あたりは結構イモビライザーの故障コードが入る車が多く、実際に初爆するがストールするという症状は良く出ます。今回取り外したイモビライザーシステムをECMセットで出品中です。緊急時の予備保管等、需要がありましたら是非よろしくお願いします。